2006年10月3日発行
◆選考委員の講評・感想(敬称略) |
| ■濱田滋郎 |
| ---今年も示された高水準と取り組みの真摯さ 記念すべき第15回新人公演・フラメンコルネサンス21も、例年通り若人たちの熱演の模様を鮮やかに 織りなしならが、まずは無事終了することができました。 今年もまた精一杯に詰め込まれたスケジュールで、出演者にもご来場の皆様にもご協力を頂きました が、最もご苦労をおかけしたのは舞台監督、照明、音響ほか、すべての裏方さんたちだったと思います。 とどこおりなく進めて頂きましたご尽力、ご誠意に対し、統括責任者として、このスペースをお借りし、 心より御礼申し上げます。 70名に及んだバイレ・ソロを始め、群舞、カンテ、ギターの出演者の方々にも、もとより心からの拍手 を贈りたいと思います。 以前は少数ながら「フラメンコとしては、いかがなものだろう?」と首をかし げてしまう出演者も混じったものですが、昨今はそういう例はなく、水準の高さと共に、フラメンコに 対する取組みの真摯さが押しなべて感じ取れるのは本当にうれしいことです。 協会から「奨励賞」を贈ることができる人数は、内規によりほぼ定められているため、今年もバイレ、 カンテ、ギターの各部門にわたり、実力とセンスとを示しながら、惜しくも選に洩れた方がたが幾人も ありました。 カンテは今年も、すでに安定した水準が築かれていることを実証する演唱がつづき、私の内でも、 「これは奨励賞候補」と思えた人が5指に及びました。ギターも同様で、聴き応えのある、楽しみな奏者た ちが心に残りました。 バイレ・ソロは私は選考に加わりませんでしたが、つぶさに観せて頂き、印象に 残る踊りはそれこそ枚挙にいとまもありません。 惜しくも受賞に至らなかった方がたの内から敢えて 挙げますと、27日9番、次いで25日19番の方が示されたバイレ・プーロへの方向性は、貴重なもの かと思います。 ともあれ、アルテに携わる皆様のご精励、ご多幸を心より祈っております。 |
| ■小島章司 |
| ---個性を伸ばして一層の飛躍を! 出場順に印象に残った人を記したい。 1日目。 よく練られた個性と独特の構成で見せてくれた岡較子。 自由自在なブラソ、状態の動き で存在感を放った荻野リサ。間を表現できるようになるとさらによくなる。 確かな実力を感じさせた 佐藤聖子。 太田マキは、美しいフォルムで舞台上の美を表現。サパテアードの確かさがほしい。 里有光子は安定感ある実力。スピード感、体の切れが特によかった。グラシアたっぷりに舞った日比野 由季。 2日目。フラメンコの音楽性を感じさせた井口裕香里。山下怜子は格段の成長ぶり。サパテアードの 確かさを感じさせた小林久美子。 田中玲子は、全出場者の中で際立った表現力、実力を感じた。踊りが 自然でひかえめで、でもずっしりと伝わってくるものがあった。 末木三四郎は、少し過剰な面もあった が、力強い骨太な踊りが魅力的。 コケットリーな雰囲気で踊った川松冬花。品位を保ちながらガロティ ンの魅力をしっかり表現していた梶田真由美。 本田恵美は、バックの音楽とよく調和しており、表現の 深さを感じさせた。しなやかなブラソが印象的だった林田紗綾。リズム感が格段によくなった柿崎祥子。 動きにスケール感が出ていた中根伸由。 官能的なエロスを発散させて踊った宇根由佳の貴重な個性。 3日目。 内なるものが表現できていた斎藤恵子。絶妙な間と波打つようなブラソの魅力がだった田中 菜穂子。 エレガンスであり、体全体で表現した工藤朋子。 迫力あるバイレでありながら、静止したと きの美しさが抜群だった屋良有子。 フラメンコ的感性に優れていた松彩果。 ギターでは、小林亮の一音一音の美しさが心に残った。 カンテではやはり高橋綾。 これまで聞いた あなたの歌の中で一番よかった。入魂の一曲。 |
| ■伊藤日出夫 |
| 今年も毎回毎回感ずるところだが、皆さまの水準の向上です。 ギターとカンテのみの選考ですが、 ハッとするような方々が出られて、日本のフラメンコもここ迄きたかとパイオニアの一人である化石? のような私には、嬉しいと同時に明治、大正時代を経て昭和の時代、戦後60年以上の歴史を見て、自分 自身もずっとギタリストであったことが夢のように感じられるこの頃です。 さてギターの方ですが、縄手善尚君、33才にしては若い!ゴルペから入るアレグリアス、将来楽しみな 明るい華のある人です。 みなそれぞれに華のあるステージを観せられて、プロの人もカンテの人も居 られる。 ギターから始まった日本のフラメンコ! まだまだ多くのギタリストが続いて出現して頼もしく思えま した。 カンテの方ですが、昔からスペインでフラメンコといえばカンテのことでしたが、近年のカンテ 出場の皆さんは、目を見張り、耳を澄ますような方々が出て参りました。 日本のカンテ、それも女性が多かった事は驚きましたが、その中でも高橋綾さんには席を離れるのにし のびないシギリージャでした。 私はプロの観点から他の人に最高点を入れましたが声の良さといい、こ ぶしのまわし方といい期待出来る方です。 その他にも説得力のある足立さん、声に力のある宮本さん、 声にボリュームと華のある佐々木さん、などなどカンテの人達の台頭は、これからのフラメンコの世界に いい影響を、と願わずにはいられません。 伴奏のギターも力をつけ、あとはベテランのフラメンコの味のある伴奏(と云うべきでなく、三位一体 だが)にひけを取らぬカンテの方々の精進を祈りたい。と共に、来年、再来年が楽しみ第15回公演でした。 |
| ■本間三郎 |
| 自分のつけた点数には関係なく、印象に残った方々の中から。 岡較子さん、踊りのバリエーションが少なかったのですが、踊る”かたち”がよく、キレもありセンスの 良さを感じました。 稲垣しのさん、ためた感じと小さなキレもありますが、糸をひくようなブラッソのな めらかな動きが印象的でした。 佐野由布子さん、体の線、その動き、ポーズがきれいで優雅な踊りでした。 欲を言えば、もう少しパワーとスピード感がほしいかな。 山下怜子さん、身のこなしが良く、スピード感 とキレがあります。 腰をおとした振りも体の線が崩れません。そして何よりもブラッソの軌道が美しい。 末木三四郎さん、ダイナミックでパワーのある踊りですが、その中にうまく緩急をつけ、イキさ、キレの 良さが際立っていました。立ち姿をカッコいい。 本田恵美さん、今年も健在でした。 小回りのきく小気味 良い所作の連続は心地よく、強い印象を受けました。 工藤朋子さん、踊る体の線がきれいで、ブラッソの 動きもねばりがあり、またためた感じの中にキレの良さもありました。 屋良有子さん、静と動のコントラストが絶妙で、巧みな身のこなしとその動きの早さ、キレの良さ、完璧 とも言える小停止は見事でした。踊りのセンスは超高度なものと感じます。衝撃的でした。 ギターの石塚隆充さん、パワフルなタッチで自在にリズムを操っている感じでそのフィーリングが心地よ い。彼独特の音楽の世界を作っているような印象を受けました。これからも期待しています。 |
| ■山田恵子 |
| ---熱戦に思うこと 月日が過ぎて行くのは本当に早いものです。 この一年を新人公演に向けて頑張って来られた皆様お疲れ 様でした。そして奨励賞努力賞を受賞さらた方々おめでとうございます。今年も又熱戦ですばらしい踊りの 連続で採点では苦労致しました。ほんの僅かの差で入賞が決定致しますがその差は何なのでしょうか。 上手下手より登場する時の歩き方、板付けからふり返る瞬間、ブラソが動き出す時の感情表現、パソから パソへの移り方、大きな舞台での構成力と空間を捉えた踊り方等、たくさんの要素を加味した踊りであるか どうかを拝見致しました。 流行なのか始めから終りまでサパテアードで成り立った踊りは曲名だけ違った 同じような踊りにみてしまいます。もっとカンテを大事にして欲しい、そして体もブラソもエスコビージャ と共に音楽を感じて踊って欲しいと思います。 その点受賞された方々の踊りは体が楽器となり音色が客席まで伝わって来ました。 先ず里さんの個性溢れるソレア・ポル・ブレリアは何曲かあったソレア・ポル・ブレリアの中でピカ一。 田中 玲子さんの強弱のニュアンスのすばらしさ。 本田さんは小さな体いっぱいのパッションでしたが願わくば 少々シレンシオが欲しいです。 末木さんはまだ固さがありますが、遊びが出て来ました。 田中菜穂子さんは体とブラソの動きから出る美しいうねり。工藤さんのなめらかな流れの踊りにブラボー。 屋良さんの間の取り方と洗練された踊りには云う事なしで、すばらしいの一言です。 荻野さんの表現力は 大ですが少し押さえたところも見たい。 他、鈴木圭子、佐藤聖子、多田美和子、山下怜子、白坂智子、 小林久美子、林田紗綾、松彩果、斎藤恵子さんが印象に残りました。 今回群舞は賞ナシです。ユニゾンだけではなく、もっと構成を考えてソロでは出来ない可能性を秘めた 作品を創って下さい。 来年も期待して居ります。又これからの一年を頑張りましょう! |
| ■坂中浩治 |
| ---これからの日本のフラメンコ界の為に バイレソロ:第15回新人公演奨励賞受賞の皆様心より、おめでとう。今年もすばらしいフラメンコを見せて 頂きました。徐々に個性豊かな奥行きの深い表現を少しずつですが芸術の世界へ一歩でも近づきつつあるよう に思います。 人間一生、毎日の生活の中で何時も一般大衆をひきつけるような努力をして下さるようお願い します。毎回ですが個人的な批評は控えさせて頂きます。今後の日本のフラメンコの為に一緒に頑張りましょ う。 ギター:プロとは何かを卓越した技術・リズム音楽性その他を合せもったもの今後に期待する楽しみを持ち ながら・・・ カンテ:大変バランスのとれた方が多く今後のカンテ界は見通しが明るくなって来ました。 群舞:色々と大変考える事が多い内容でした。 |
| ■三澤勝弘 |
| 今回はとても楽しく充実した三日間でした。 有難うございました。 次に思ったことを少し述べたいと 思います。 ギター部門---全体的に感じたことは、技術的には大変高い水準にあると思われるのに何故か音が届いてこ ない、という矛盾。 大きな会場での演奏ですので、間合いや音色などあるいはテンポなどの調整で会場全体 に響きわたるような演奏が欲しかった。 受賞された縄手さん、おめでとうございます。しっかりしたテクニックでした。 今後の活躍期待しており ます。 小林さん、とても美しい音でした。あと少し骨太のところが望まれます。 石塚さん、とても楽しく 聴かせてもらいました。ソロとしてはもう少し重味があればと思いました。 また参加された方々の中には緊張のせいか実力を出しきれずに終わったと思う人も見受けられました。今後 の再挑戦を期待しております。また毎年思うことですが、舞台での演奏を楽しむのなら分かりますが、賞のこ とを考えるのであるならば、パルマ等のバックを付けず、身ひとつギターひとつで臨んでもらいたいと思いま す。 カンテ部門---フラメンコには外国人である我々には時として歌い回しにぎこちなさが目立つことがありま す。しかしそれを克服しなければならないのは当然のことです。 受賞なさった高橋さん、おめでとうござい ます。これまでよりひと回りもふた回りも大きくなられた様に感じました。発声も自然さが増し、今後のご活 躍楽しみにしております。 那須さん、歌い回しに一工夫を。 永潟さん、もう少し余韻があれば更に深さが出てくるのでは、と思いま した。その他の皆さんもとても素晴らしいと思いました。 ここで名を挙げられずごめんなさい。 歌がどう のというよりその存在、ギターの時といい、今回の歌といい、好きなんですね。こちらまで幸せになりました。 有難うございました。小倉さん。 |
| ■渡邊薫 |
| 新人公演も15回目を向え、協会の発展と共に年々参加者が増え今回も多くの方達が参加できないという 状況でした。今後の課題として検討が必須となっています。 奨励賞、努力賞受賞の方達おめでとうございます。 本田恵美さんの切れのある体、カンテのコンテスタ ション素晴らしい。 田中菜穂子さんのブラソの美しさ、屋良有子さんのリンピオなサパテアード。 荻野 リサさん安定した腰、アイレを感じた。 3日間を通しこの他私の中で印象的だった方達。 佐野由布子さん、バタ・デ・コーラの動きが洗練された。 佐藤聖子さん、オーソドックスな振りの中に力強さと個性が光っていた。 大和田いずみさん、唄振り押えが 効いて良かった。 正木清香さん、マルカーヘが上手、最後までテンションの高さを継続。 白坂智子さん独 特の粘りのあるマルカーヘ前より解放された心が見えた。 宇根由佳さん切れのある踊りペジスコがある。岡安真由美さん、しっかりとして基礎力、メリハリがきいた 踊り、伊須裕巳さん、大人の踊り、後半のタンゴが良かった。斎藤恵子さん惜しい! よくまとめ、自分の踊り としていたが少し力みすぎましたか? 二宮久美子さん、フラメンコのアイレたっぷりのタンゴ。土屋香さん、 初々しさと思い切りの良さのある彼女の個性を生かした振付。 群舞部門では、三枝麻衣、雄輔、パレハとしての絡みが希薄。 兄妹なので難しい!? 丸山博子、大橋愛 ユニゾンすぎたがよく躍り込んでいる。 岡本倫子舞踊団各々の踊り手の質が高いので構成に工夫があれば。 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ、躍り手一人一人のテクニック向上を。 マジョール男組、フラメ ンコへの熱き思いが充分伝わった、益々の精進を。 今年も96(人・組)の参加者のお陰で、素晴らしい舞台となりました。 若き熱いパワーを頂きました。 本当に次回が楽しみになる予感にあふれた新人公演でした。 |
| ■鈴木眞澄 |
| ---フラメンコは共有するもの ご出演下さったすべての方々と公演開催にご尽力いただいた方々ありがとうございました。 毎年の新人公演は渡しにとっても楽しみな舞台です。部門を問わず一生懸命にフラメンコとむかいあって いらっしゃる方々をみるのはとてもうれしいことですし、自分自身のフラメンコを見直す意味での大切な機会 です。 フラメンコは躍る人、唄う人、奏でる人、その場にいる観客もふくめて共有できるものがあると思います。 思わず「オレーッ」と声をかけて拍手をしたくなる熱いものがもっと感じたかったのですが、今年も上手な 方がたくさんいたしたのに、胸が熱くなるような感じをもてた人は少なかったことが残念でなりません。 それこそみんなが待ち望んでいるものではないでしょうか。 あえてきびしい言い方をさせていただけるなら、上手な踊りや、よく体を動かしているだではみていて冷た い感じがするのです。 私自身もなかなか思うようにはいかないのですが、これから活躍していかれるみなさ んに「心と体のバランス」ということを忘れないで欲しいです。 フラメンコの踊り手なら観ている人をも熱くさせるような踊りを踊っていきたいです。きっと一生悩みは尽 きないでしょうけえれど、意欲は捨てずにがんばっていきましょう。 |
| ■今井重幸 |
| 今年の新人公演は上位陣が特に伯仲した。 先ず25日のギター部門の出演は10人。縄手善尚の「アレグ リアス」がフラメンコ的感性と安定感を評価され奨励賞を獲得した。 しかし選考委員の合計評点では僅差で 石塚隆充、小林亮、宮川明、松田賢、廣川叔哉が続いて居る。それぞれの素敵な個性を持って居る訳だから、 技術・表現力等益々の精進をして再挑戦して欲しい。 次の26日カンテ部門は出演11人、高橋綾の「シギリージャ」が獲得出来たが、やはり僅差で那須慶一、 永潟三貴生、茂木成美、柏山美穂、小倉誠司が居た。今後も、発声・発音・リズム感・表現力等で益々の精進 に励んで奮起して欲しい。 さて、バイレ・ソロ部門であるが出演者は70名、今年は半数以上の人達のレベルが非常に高く採点に大変 苦労させたれた。 そして奨励賞の受賞者では、センター板付から黒い衣裳で強烈な個性を表現した屋良有子 のアレグリアス、上手板付から赤い衣裳で昨年より大きく飛躍した本田恵美、センター奥板付からブラソと縦 のラインが美しかった田中菜穂子のティエントス、上手から登場青い衣裳で昨年の問題点をクリアして成長し た里有光子のソレア・ポル・ブレリア、多少、力みすぎたが激しい表現に徹した末木三四郎、下手板付から、 しっかりした構成で表現した2度目の工藤朋子、ダンシング・エリアが限定され過ぎたバランスの取れた表現 の田中玲子等、皆、高いレベルに達したダンサー達である。 大変、惜しかったのは努力賞の荻野リサである。 合計点が僅差で次点になったが、個人としては繰り上げして挙げたかった。 今年のバイレ・ソロでは、特に上位が伯仲したので、残念ながら受賞圏内には残れなかったのだが、テクニッ ク等が確立して居て、尚、フラメンコ性・表現力・感性等が豊かな上位の人達の中で、印象に残った人、を列挙 して置きたい。 25日では、岡較子、佐野由布子(昨年も出場)、成田重実、小川愛、大和田いずみ、26日では、多田 美和子、山下怜子、大塚みよ子、得冨智美、林田紗綾(昨年も出場)、宇根由佳、27日では岡安真由美、 東仲マヤ、伊須裕巳、東陽子(昨年も出場)、斎藤恵子(昨年も出場)、沼田紀子(昨年も出場)、 二宮久美子、松彩果、土屋香、若月志保、等であるが、此れの中には、個人的には努力賞に相当すると思える 人が何人か居たと思う。 再起して挑戦して欲しい。 最後は、群舞部門であるが今年の出場は、5組、選考委員会・理事会では、より高度な研鑚と今後より多くの 舞踊団の参加へ期待を込めて見送りとなったが、私個人としては、皆それぞれの努力を感じるだけに、鍵田真由 美・佐藤浩希フラメンコ・スタジオとフラメンコスタジオ・マジョールには何等かの賞を出したい思いだった。 此の部門に於ける、今後、より多くの団体の応募を期待したい。 |
| ■岡本倫子 |
| 新人公演出演者の皆様そして運営に携わった関係者の皆様お疲れ様でした。 今年も出演者の方々全ての フラメンコにかける熱い思いに感動した3日間でした。 奨励賞そして努力賞を受賞された方々は皆さん技術的レバルも高く、それぞれの個性と存在感を舞台上で 発揮できていたと思います。 25日(金)出演の岡較子さん、26日(土)出演の山下怜子さん、27日(日) 出演の松彩果さんも高い技術的レベルと自分のエスティーロで充分魅せていただいたので私個人としてしては 奨励賞を差し上げたい方々でした。 また、今回は例年以上に多くの方が印象に残りました。バタ・デ・コーラとマントンの捌きが自分のものに なっていた佐野由布子さん、動きのラインが美しい太田マキさん、個性を生かした振りと衣裳で魅力的だった 日比野由季さん、巧みなバタ・デ・コーラ捌きとマントンで華のあるアレグリアスを見せてくれた小川愛さん、 大らかさ感じさせてくれる振りでこれからが楽しみな春日井まみさん、恵まれた容姿を生かしてステキなソレ アの唄振りを見せてくれた大和田いずみさん、大人のソレアを感じさせてくれた稲垣しのさん、小気味いい ソレア・ポル・ブレリアの多田美和子さん、よく躍り込んだソレアを粘りのある体使いで表現した宇根由佳さん、 シャープな動きの中に女性らしい存在感のあるグラシアのある東仲マヤさん、安定した腰で女性らしい存在感 のあるタラントを見せてくれた伊須裕巳さん、品格のあるソレアを踊った佐藤ひさかさん、安定したリズム感 で躍ることを誰より楽しんでいた住田ルカさん、”あなたにしか踊れないアレグリアス”で魅せてくれた土屋 香さん。 出演者の方々全員の感想をお伝えできないのが残念ですが今回も実り多い新人公演だったと思います。ただ とても残念だったことの一つは、踊りを生かしてあげるべきバックの方々の存在がともするとステージの上の 踊りを台無しにすることになってしまったのではと思われる例がいくつかあったことです。 バックの方々も こころして出演者の踊りを支えてあげる存在として出演していただけたらと思います。 |
| ■鈴木敬子 |
| 毎年、選考委員の方がおしゃっているとおりに、年々踊りの技術レベルが上がってきていると思います。 もちろんテクニックは大切ですが、今回私が注目したのはフラメンコ性と個性でした。 高度な技術で踊って いても訴えてくるものが何もなかったり、誰から習った曲かが、はっきり判ってしまうほどのコピーに近い 踊りなどは、やはり評価が低かったと思います。 そして躍り手は踊るだけでなく、自分を一番引き出してくれる人をバックのアーティストして選ぶことから 始まると思います。 バックのアーティストの影響は大きく本番に関わります。それでマイナスになった方も いたと思います。 しかしながら、今回も参加した人たちが、この新人公演のためにどれだけ努力し練習して きたか、全ての参加者からその気迫が伝わりました。 そのなかでも私が特に印象に残った人は、春日井まみさん・・踊りに引き付けられました。可愛らしさが溢 れて癒される踊りでした。 大和田いずみさん・・踊りが大きく安定感がありました。 大塚みよ子さん・・ 個性を生かしたダイナミックな踊りで、彼女自身、楽しんで踊っているのがこちらにも伝わりました。 田中菜穂子さん・・柔軟な身体を生かした振り付けで、衣裳も曲に合っていました。 屋良有子さん・・キレ のある踊りとテクニックで魅せていました。これからがとても楽しみ人です。 土屋香さん・・踊り的には未だ ですが、個性と力強さで、この日の会場を一番沸かせていました。会場を沸かせたといえば、群舞でのマジョー ル男組・・フラメンコは男性でもサラリーマンでも出来るものです。 きっと、フラメンコをやってみたいと いう人が増えたと思います。 群舞に関しては、それぞれのグループの人数や方向性が全く違っていたので選考 するのにとても悩みました。 群舞の部の選考方法などは、これからもっと検討して改良されて行ければと 思います。 |
| ■住田政男 |
| ソレア/三枝麻衣・雄輔、バイレ群舞というよりバイレソロを見た気がした。 もっと動きがあっても良い、 もっとガムシャラにおどっても良い、トップクラスの踊り手がそうであったように。 カラコ-レス/丸山博子・大橋愛、私の知るかぎりカラコーレスのエスコビージャにゆっくり始まるのは見た ことがない。 もう少し工夫が必要。 カラコーレスはテンポがあってこそカラコーレスである。 カーニャ/岡本倫子スペイン舞踊教室、カーニャの踊りで一番美しい所は、ラメントの所ではなかろうか、 もっと工夫が必要である。 ソレアポルブレリア/鍵田・佐藤フラメンコスタジオ、男性がいたのにもかかわらず生かされていなかった。 群舞としての動きに工夫があったのは良いが女性の動きに乱暴さが見えた。迫力と乱暴さは別ものです。 アレグリアス/マジョール男組、個性ある5人組、ほほえましく見させていただきました。フラメンコ協会 ならではないだろうか。再びチャレンジを希望する。 |
| ■曽我辺靖子 |
| 今年もパワー溢れる新人公演でした。96組の出演者の皆様、熱気に満ちた舞台をありがとうございました。 貴方がたの緊張と不安を客席も共有した、とても充実した3日間でした。皆さん全員の賞に値する熱演に心か ら拍手を送ります。その中でも印象に残った方々を記したいと思います。 25日(金)粋な踊りをする岡較子さん。シギリージャを心から愛し指先まで気持ちが入っていた荻野リサ さん。上半身の表現力がすばらしい太田マキさん。 里有光子さんの踊りの流れの良さに目を奪われました。 26日(土)山下怜子さん、実力を付け努力のあとが見られました。 田中玲子さん、空気がピーンと張り 詰め観客を引き込んでいくすばらしい踊りでした。 末木三四郎さん、舞台度胸もつき、特に後半は余裕の 雰囲気も感じられました。 本田恵美さん、確かなサパテアードと機敏な動きに魅せられました。中根信由さん 味のある踊りで今後が楽しみです。 宇根由佳さん、将来性を感じました。 27日(日)斎藤恵子さん。実力もつき完成度の高い踊りでした。 沼田紀子さん、心に残るシレンシオで した。 田中菜穂子さん、バックとも息も合いうまく踊りこなしていました。 工藤朋子さん、良く鍛えあげ られた表現力でした。 屋良有子さん、圧巻でした。一本の糸を繰るように空気を全部自分のものにしていま した。 松彩果さん、濃厚な雰囲気が魅力的でした。 住田ルカさん、リズム感良く踊ることを楽しんでいる 姿に初々しさを感じました。 土屋香さん、貴女のパワーと魅力が会場を包み込んだすばらしい踊りでした。 まだまだ沢山の方に触れたいのですが字数が尽きました。 機会があればお声をかけたいと思っております。 お疲れ様でした。 そして客席から応援して下さった皆様ありがとうございました。 |
| ■手塚真智子 |
| 出演順(バイレ・ソロ)に感想を記させて頂きます。 佐野由布子さん、昨年にも増して丁寧にマントン・コーラを使い、表情も豊かになった印象を受けました。 佐藤聖子さん、大人の女性になった感じですが、流れが直線的で、もう少しメリハリがつくと良いと思います。 大塚みよ子さん、表情が豊かで好感が持てました。 川崎裕子さん、テンポのマンダールする所が、躍り手か ら出す所が欲しかったです。 川松冬花さん、一所懸命に踊り切った感じが良かったです。 岡安真由美さん、全体の構成が良かったです。伊須裕巳さん、踊り出しの足音が、とてもきれいでした。 斎藤恵子さん、安定感と重みがありやはり今年も力強い踊りでした。 松彩果さん、小粋に、大人っぽく踊っ ているのが素敵でした。 松井綾乃さん、歩き方がとてもきれいでした。 住田ルカさん、将来がとても楽しみ だと思ったのは、きっと私一人ではないでしょう。 今回の経験は、大事な一歩となることでしょう。 土屋香さん、自分の個性を知り、それに真直ぐに向かい合って、挑戦した姿が”muy flamenco”でした。 指導して下さった先生方、お仲間が、素晴らしいと思います。 引っ込みの最後まで”ole”と言わせてしまっ た踊りに”ole”をお送りします。 全員の方へ、書くことが出来ずに申し訳ありません。 フラメンコに出会えた私達は、とても幸せ者だと改 めて、認識しました。 そのフラメンコを通して、自分の感情、気持ち、考え方などを表現するは、大変むず かしいことだと思いますが、やはりそれをし続けなくてはならないのであと強く感じた今回の新人公演でした。 最後になりましたが、出演者の皆様に、心よりの拍手をお送りします。 |
| ■花岡陽子 |
| ---羽ばたけ!若きアーティストたち 干場さん、お客様にアピールを! 岡さん、とても好ましいフラメンコ。 荻野さん、奥深さを感じました。 三宅さん美しいです。 和田さん、若さあふれるステキです。 松風さん、体の中心をしっかりと。 佐野さん 力を入れてもっと。 鈴木さん、もう少し”静”を勉強して。 佐藤さん、力が入りすぎるかも。 成田さん。 表現を考えて下さい。 太田さん、少し単調になりました。 森脇さん、ブレリアが面白いです。 日比野さん、振りが面白かったです。 小川さん、しなやかでした。 里さん、とても才能を感じました。 春日井さん、気合をもう少し入れて。 大和田さん、大人っぽくバランスも良いです。 稲垣さん、強さはある のですが。 許さん、もう少し工夫が。 多田さん、好ましい踊りです。 井口さん、個性的でした。 正木さん、ブラッソが良いです。 島田さん、もっと華やかに。 淵岡さん、ちょっと大味でした。 山下 さん、今ひとつ魅力が欠け。 白坂さん、安定性があり良いです。 小林さん、もうちょっとでした。 大塚さん、もうひとつ乗りが。 川崎さん腕の使い方を研究して。 田中さん、とてもアイレが良いです。 末木さん、フラメンコを自分のものにしています。 川松さん、全体に勉強が欲しい。 梶田さん、ガロティ ン的良さを考えて。 本田さんカンテがとても良い。 得冨さん、欠点がないのですが。 林田さん、ブラソが きれいで上手です。 柿崎さん、ブラソをもう少し考えて。中根さん、ちょっとオーソドックスを打破して。 河野さん、真面目すぎるのも。 寺崎さん、素質を感じました。 西川さん、ぼう立ちが気になりました。 折橋さん、ブラソをもう少してにねいに。 宮内さん、初々しくて新人公演らしい。 宇根さん、バランスの 良い踊りと体型。 神田さん、勉強していって下さい。 岡安さん、しなやかで指先まで神経を使ってました。 矢村さん、力を抜く事も考えて。 東仲さん、可能性を感じます。 伊須さん、欠点はないのですが。 小久保さん、ブラソを研究して。 原田さん、ちょっと荒らけずりかも。 東さん、バランスが良いです。 斎藤さん、将来性のある舞踊手。 萩尾さん、振りがちょっと単調。 二宮さん、重圧感が欲しい。 屋良さん、みとれてました。上手です。 松さん、ムイ・フラメンカでしたよ。松井さんブラソに重厚感が 欲しい。住田さん、可愛いい!将来が楽しみ。 結城さん、好感がもてます。 松田さん、パソをもうひと工夫 して。岡野さん、切れを良くして。 岡田さん、振りがワンパターンになってないかしら。 土屋さん、独自で 改革した踊り。 若月さん、よくまとめてブラソも良いです。 フラメンコスタジオ・マジョール、何とも言えないステキでした。 阿藤久子フラメンコ舞踊団、スペイン 舞踊の基本を思い出します。 ちょっと未熟なところが。 岡本倫子スペイン舞踊教室、ユニゾンをもう少し 構成が欲しいです。 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ、元気が良くて目がさめる様でした。 揃わ ないところがマジョール男組、それぞれ5人の人生がそのまま踊りに反映して好感がもたました。 |
| ■本間牧子 |
| ---熱い暑い夏 今年も熱い暑い夏が終わっていきました。 受賞者の皆さん本当におめでとうございます。 そしてお疲れ さまでした。 今年も多くの方々が参加され、そのレベルの高さに驚かされました。 ヌメロもエステーロも 違う中、どのように選考すれば良いのか・・・難しいものがありますが、ただ一点かわらないのは技術面と メンタル面をいかにコントロールし、自分のフラメンコを出しきるかになるではないかと思います。 田中菜穂子さん、屋良有子さん、見事でした!! 1軸(芯)の安定がすばらしく、体の隅々まで神経がいき 届き、特に静止した時、そしてその呼吸の中から新たな動きが始まって行く様はすばらしく本当に感動いたし ました。 本田恵美さん、安定感の上に躍動感と力強いパワーが舞台で花火のようにはじけ、すっかり魅了され ました。 工藤朋子さん、完璧といって良い程の体の使い、感服いたしました。 今回受賞された方々の他にも私個人として賞を差し上げたい方々がいらっしゃいました。 小川愛さん、安定 感としっかりした踊り、何より輝く華があり素敵なアレグリアスでした。 山下怜子さん、重心移動、体、ブラ ソ等、唄振りの絶妙な間がすばらしかったです。 岡安真由美さん、ブラソもよくのびダイナミック、タラント独特のねばりとメリハリもあり、すばらしかった です。斎藤恵子さん、安定感の上に全身からほとばしり出て来るもの、隙のなさ、魂の強さを感じさせるシギリ ージャでした。 土屋香さん、最初から最後まで全身全霊、これがフラメンコ!!嬉しくて嬉しくて感動いたし ました。 ギター:小林亮さん、一音一音を大切に弾かれ、音色の中に景色が見えました。ギター楽器を弾くということ、 これがギターソロということなのではないかと私は思いました。とてもとても心に残るタランタで、感動いたし ました。 新しく公演に参加されたすべての方々に新たなる発展と進歩がありますように・・・ |
| ■EL・POKA岡崎 |
| ---燃える協会の祭典 今年も又燃えるフラメンコの新人公演に、正面から参加し真剣に鑑賞させて頂き未だ感謝と興奮に満ちており ます。 すばらしかった。奨励賞に手の届いた方々おめでとうございます。 努力賞に満足する事なく、昨年よ り大きく成長され、兎に角やるだけはやった!と舞台を去ってゆく本田さんの後姿が最高でした。青春時代を思い 出せました。 ありがとう。 さて私が選んだ奨励賞以外の奨励賞に価する方々にこの紙面をお借りして感謝とエールを! 荻野リサさん、貴女の踊り力強いシギリージャになっていたと思います。 体も衣裳のセンスもマノ、ブラッソ、 アイレ何から何まで、なにせ華が有り踊りも良かった。 毎日のレッスンの時、ゆっくり丁寧に基本に向ったら 確実に前進します。 太田マキさんも華が有った。体も出来つつあるし勉強もしてる。 その上踊りが素直で好きでした。 淵岡ひとみさん、舞踊力があるとみました。素敵に着こなし、おしゃれで品がある。 スタミナを蓄え、瞬発力 を身につけられる様になったら最高。 小林久美子さん、後半ののりが好きでした。少し腕力に欠けるかな? 斎藤恵子さん、スタミナも充分だし センスも舞踊力も味もありました。沼田紀子さん、舞台上の顔がすごく良かった。 スペイン人達との一体感 が特に良かった。 松彩果さん、個性的な素敵な踊りでした。ソレアの良い匂いがプンプンしていて好きでし た。 住田ルカちゃん最高! かわい〜い!日本のフラメンコの未来のレイナ! 毎年出演してほしいな。 最後に特筆すべきすごい人、土屋香さん、フラメンコの革命児ジャンヌダルク。人間味溢れ暖か味が有り、 人の心の中に入って来る踊りを持っている人。 来年はブレリアが観たいな。燃えれば燃える程、女っぽい 人に成ると思います。この調子でずっと頑張って下さい。楽しみです。 出演者の皆さん、お疲れさまでした。 ありがとう! |
| ■東仲一矩 |
| 「第15回新人公演」を省みて、先ずは出演者の皆様大変おつかれ様でした。奨励賞を受賞された方々、本当に 御目出度うございます。 里有光子さん、前回より数段進歩され自己の世界を構築されている様に思いました。 田中玲子さん、テク ニックの確立された舞踊で存在感も示されていました。末木三四郎君、サリーダの存在感は立派なものでした。 創られたものでなく、素の踊りを今後に期待します。 本田恵美さん、完成された舞踊で確固たる自分の世界を 持たれカンテとギターとのアンサンブルも素晴らしいものでした。 田中菜穂子さん、自己の世界を創ろうと努力されているのが感じられました。 工藤朋子さん、やはり完成さ れた自己意識の内からの表現でした、感動しました。 屋良有子さん、御見事!!これからどんな風に変化して 行かれるか期待しています。 そして努力賞の荻野リサさん、存在感のある踊りで下半身の安定から来る空気は 素敵でした。 カンテ部門で奨励賞を受けられた高橋綾さん、前回よりずっと自分の声と気持ちで唄われた様に感じられまし た。今後は声量に取りくんで下さい。 「追伸」 年々技術も音楽も上がって行くのを私自身つくづくと感じた今回でした。残念乍ら今回受賞をのがした方々の 中で私自身が素敵に思った方々の名を列記致します。 太田マキ、日比野由季、小川愛、正木清香、山下怜子、小林久美子、岡安真由美、原田絵理、得冨智美、 松彩香の皆様です。 それとカンテの小里彩さん、音程の確かさは見事でした。またギターの石塚隆充、小林亮 の両君、各自の音の世界を自己から発信している、それを感じました。 出演者の皆様本当に御苦労様でした、私にとって年一回の楽しい時間と感動を与えていただきました。 |
| ■加部洋 |
| ギター、カンテ部門ともそれぞれ10名を越える盛況ぶりで、大変嬉しいことでした。 <ギター部門> 山田君:すでにプロの余裕・貫禄で、安心して聴けた。 今ひとつ押しがあれば・・。 廣川君:壮大なタラ ントがかなり良く弾けていた。特に後半の盛り上がり。トレモロなど細かいテクニックの見直しと音を太くする 工夫を。 石塚君:冒頭の弦のトラブルが残念!そのためが固くなってしまった印象。J・M・カニサレスを思わ せる前衛的なブレリアはシャープかつタイトだった。 松田(博)君:大舞台で最後までよく弾き切った。高・低音のバランスが悪く細かいミスが目立ったのが残念。 松田(賢)君:毎年出場の松田君はリズムものが得意。曲の後半インテンポになってそれが分かった。トレモロ やピカードの音のふくらみを。 古田君:経験は浅いようだがソレアらしさはあり。テクニックを磨き、弾き直 すクセをつけないこと。 縄手君:パコ・デ・ルシアの名曲アレグリア「ラ・パローサ」を下敷きにしたオリジナルを弾き切ったのは 見事。もう少し音が太かったら・・。 宮川君:ブレリアの雰囲気はあったが、テンポが速すぎてノリが出て いなかった。ゆっくりでもコンパス感のある演奏を。 定直君:個性的で難しいアレグリアを弾いていたが、ミ スのためか特に高音のフレーズがよく聴こえなかった。 小林君:非常に丁寧に、かつ気持ちを深く込めた演奏は見事。フラメンコへのアフィシオン(愛情)の深さが はっきり感じられる演奏だった。 <カンテ部門> 小里さん:昨年とは別人の上手さで驚いた。意気込みが本物。後半の楽しさが印象的。 足立君:恵まれた声 量と声質はいつもの通り。節回しを今ひとつフラメンコらしく。 柏山さん:エンディングは圧巻。声量、音程 など申し分ないが強弱緩急の点で若干平板なところあり。 那須君:上手い。最後の熱唱を含めてまとめ方もたいへん上手い。しかしなぜか軽い印象。なぜ? 永潟君: 発声、節回しなどかなりフラメンコだが、今ひとつアピールが足りなかった。 小倉君:カラコール風ファン タンゴ。経験の浅さはあるが、気持はストレートに伝わって来た。 宮本さん:声量あり音程よし。できればパルマを叩きながら歌ってノリを出して欲しかった。 佐々木さん: 相変わらず魅力的なハスキーボイス。しかし今年はソレアという難曲を歌いこなす前に本番になってしまったと いう印象。 高橋さん:シギリージャの大きさや深さをよくぞここまで表現した。節回しに不満があったが、あ そこまで歌い切ったのはやはり実力。 茂木さん:声量たっぷりで音程もいい。 ファンダンゴをドラマティックに歌おうという気持ちは分かった。 節回し、発声をもっとフラメンコ的に。 大和さん:アルカラのソレアを極めて正統にアプローチしている。 そのまま磨いていけば相当上手くなる。 |
| ■鈴木英夫 |
| 数年ぶりにギター部門のみの選考委員をやらせていただきました。 踊りはもちろんだが最近は数年前と比べ るとギター、カンテの出場者が著しく増えてきました。 若い世代のアーティストも増えて、いろいろな面でフ ラメンコ界の活動が活発化してきたことは大変喜ばしいことだと思います。 今回の公演でのギター部門も個性の点ではかなり切迫していて、雰囲気では石塚さん、技術では縄手さん。 音色では小林さんそれぞれ目を引くものがあったが全体的にみるとまだまだレベルが低い感じがしました。 とい うのも、全体的にリズムが甘い感じを受け、いまひとつしっくりしない印象が残りました。 たとえギターソロであっても舞踊伴奏のごとくリズム感、歯切れの良さ、またカンテ伴奏のような微妙な間合い を表現出来ればもっと聞く人を引き付けることが出来るのではないでしょうか? これからの若いギタリストに望むことは指先のテクニックのそれなりに大事ですが、それ以上にフラメンコの 土台となるコンパス感をしっかりと身に付けてほしいと思います。 殻に閉じこることはないし、また閉じこもっ てはいけませんが、フラメンコギターという一種独特なジャンルのもつ特異性をしっかり把握し、理解し、その 上でますます発展させて行ってほしいと思います。 |
| ■高場将美 |
| 今回の新人公演を見て、全体的に感じたのは、形式感が薄くなっているということでした。 スペイン本国で も、また他の伝統的な舞踊においてもそんな傾向があるのでしょうが、古い形は変わり、べつの姿に発展してい きます。それは必然的なことで、良いことのはずですが、許される限界をどこにおくか?・・むずかしいですね。 バイレソロでは、たとえばソレアとタラントを、もし音楽なしで見ていたら、どちらだか分からない。 曲種 のエッセンスが表現されてなり踊りが比較的多かったと、わたしは感じました。 曲種にある、それぞれの感情 や個性が、つかまえられていなかったと思います。 ティエントとタンゴの結合あるいは融合させるのはいいけ れど、どちらでもないものが現れてしまったら意味がないです。 規範みたいなものに束縛されてはいけないでしょうが、どの線まで守るべきか---踊る人のセンスと判断力が 問われるところです。 群舞については、ふたりだけでもけっこうだと思いますが、ソロが交代したりする程度では「群」の意義がない ですね。でも、各グループは賞の選考など度外視して、自分を楽しみ、見る人にも楽しんでもらおうと出演して いたようです。十分に目的は果たされました。 ギターの部は、聴く人にアピールしようとするアーテイスト精神が、以前より強く感じられ、全員のインパクト が強くなってきたようです。 カンテは全体的に、人前で歌う自覚に欠けていると感じました。 |
| ■菊地裕子 |
| バイレと群舞の選考をしながら、今年ほど新人公演のあり方について考えさせられたことはない。 出場者の 並々ならぬ熱意は客席にも伝わってくる。 レベルも年々向上している。にもかかわらず、「オレ!」と言える 瞬間はなかなか訪れない。 多くの人が完璧な”演技”を目指すあまらい、予定調和の”おさらい会”のようなことになっている。それは、 かなりの部分を点数に依存した賞の選考のやり方と無関係ではないように思う。 このままでは、フラメンコらし いフラメンコがなかなか表に出てこなくなるのではないか。そのことが気がかりだ。もしかしたら新人公演は、 ひとつの岐路に立っているのではないだろうか。 そんなことを考えたのも、実は今回、逆に、フラメンコならではの感動をもたらしてくれた出場者がいたから だ。3日目にアレグリアスを踊った土屋香さんである。生(き)の自分をそのまま、フラメンコでしかできない やり方で堂々と私たちに晒し、会場は何度も大きな拍手と笑いとハレオで沸いた。多くの出場者がフラメンコの 素朴な魅力をお置き去りにしているように見える今、土屋さんのバイレは最も大事なものを思い出させてくれた。 何か特別賞でも差し上げたい気持ちになった。 他にも感動させてくれた出場者がいた。奨励賞の本田恵美さん、屋良有子さんは、どちらもツボを押さえなが ら、こちらの心を揺さぶった。努力賞の荻野リサさんはカンテとギターの調和が心地よく、若々しさを前面に 出したバイレが素敵だった。 また、賞を逃したが、斎藤恵子さんの、力をぐっと溜め込んだ説得力のあるバイレには、フラメンコにしかない 大きな魅力を感じた。 群舞では、鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオの作品に感じるものがあった。出場者にレベルのバラつき はあったものの、動きをユニゾンにしない工夫が見え、上手い処理だと思った。しかし、最も印象的だったのは マジョール男組だ。年齢もキャアリアもバラバラな人々がそれを晒しながら堂々と踊りきる潔さ。観客が心を動か されるのは、実はずっと素朴なところにあるのだと、ここでも私は強く思った。 |
| ■北井一郎 |
| ---レベルの高い新人公演 四年振りに審査にたずさわったが全体のレベルが高くなってるのは嬉しい限り。8点以上のプロ級の踊り手が 数人、5点以下の若くておさらい会クラスが数人で6〜7点の方々が保殆どで審査員泣かせのきわみ。 7人の 賞候補を上げるのに大変苦労しました。実力伯仲の方々が4〜5人いらしたので誰を落とすか大変なやみました。 里有光子、工藤朋子、田中菜穂子、岡較子、末木三四郎、本田恵美、西川千鶴の7人を推したが、得冨智美、 矢村万意子、荻野リサ、佐藤聖子、屋良有子、中根信由の6人は人数の制限がなかったら推したい人々で、次回の 頑張りに期待したい。 又次の世代のスターになれるのではと思う人々の名を記してみました。若々しいが素質充分とみたのは 河野いおり、淵岡ひとみ、矢村万意子、の三人だが、これからの練習と人生の巾が出てきたら踊りに味が出てくる のではと思っています。 抜群のプロポーションを持って舞踊家として有利な佐藤ひさかは、立ち姿の美しさに たよりすぎ、前へ後へとのそり方が不足、左右体を倒したり、ひねりが全然ないのが不満です。大いに研究して 下さい。 群舞部門では5組の参加だったが三枝麻衣の洗練された踊りに軍配を上げたい。三枝雄輔は荒けずり、外遊され る由、今後の成長を楽しみにした。 鍵田・佐藤スタジオは11名の文字通りの群舞、末木三四郎を中心にした 群舞は迫力があったが、女性軍が不ぞろいなのが惜しまれる。岡本倫子舞踊教室は5人の踊りだが、横山亜弓が 踊り、スタイルともに目を引く。ソロダンサーとして期待したい。 |
| ■吉田悠樹彦 |
| ---新世紀のフラメンコの担い手達 近年のフラメンコの若手の中では東陽子や鈴木舞・千琴の活躍が印象的である。今回の新人公演では新世代の 台頭を感じた。 屋良有子「アレグリアス」は上品でありながら官能的な作品だ。女性らしさを力強くアピールした事も印象的 だった。佐野由布子「ソレア」は東洋らしさを活かした表現である。佐藤聖子は「ソレア」で構成と演技力で魅せ た。共に完成度の高い作風である。 作品としては、河野いおりと宮内京子が心に残った。河野「ソレア」では踊り手がしっとりと情景を描いたと 思えば優雅に進む。感性の豊かな作家だ。宮内「ガロティン」では清らかな乙女がサパテアードを踏むと躍り手 の内面がいっぱいに広がる。里有光子「ソレア・ポル・ブレリア」ではエネルギッシュな表情が活きた。 また松井綾乃「アレグリアス」は鮮やかな色調が効果的だ。里も松井も共に若々しい表現だかこれからが楽しみ な作家である。さらに川崎裕子「アレグリアス」の溌剌とし表情で清らかに歌い上げられる喜びにも注目したい。 個性的な作品としては原田絵理「ファンダンゴ」を上げる事が出来る。ハイセンスな感覚が幻想世界を織り上げ る。 末木三四郎「ソレア・ポル・ブレリア」には新境地を感じた。末木は人気のある躍り手だがその表現を練り上げ る事が課題である。また工藤朋子は「タラント」で踊りと演出が融和した作品を見せた.住田ルカ「アレグリア ス」は初々しい少女の世界とも言うべき内容でありこれからが楽しみだ。 群舞では鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコスタジオ「ソレア・ポル・ブレリア」のダイナミックな演技が優れて いた。構成に工夫が欲しいのも事実だ。カンテのギターの両部門は参加者が多かったがさらにもう一歩欲しかった のも事実だ。 河上鈴子の若き日の姿はA・レヴァンソンの「今日の舞踊」にも登場する。若者達の限りなき挑戦に期待したい。 |
◆受賞者のことば (敬称略・出演順) |
| ■里有光子 |
| 世間が高校野球に沸いていた頃、ハンカチ王子の存在も知らず、まさに”フラメンコ漬け”の夏。高校球児の 「青春」負けない位、「青春」しました! 大人になってもこんなに夢中に、熱くなれるものがあるという事を幸 せに思います。またそれを披露する場を与えてくれた日本フラメンコ協会の方々。素敵なご褒美をくれた審査員の 皆様、応援してくれた志保先生、スタジオの仲間、友人、その名の通り後ろから支えてくれたバックの暖ちゃん、 有ちゃん、吉田だん、そして家族。全ての人に心から感謝を伝えたいです。本当にありがとうございました!!! |
| ■田中玲子 |
| 今回受賞できたことを大変嬉しく思っています。審査員の先生方、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。 シギリージャ・イ・マルティネーテのある歌を聴いた時、以前訪れたインドのカルカッタの街の風景が脳裏をサーッ とよぎったことを今でもはっきり覚えています。 歩く隙間のないほど沢山の人が路上で生活し、全てを失い虚無の中で死を待っている。その後、沢山シギリージャ の歌を聴きましたが、カルカッタの風景を思い出すことが度々ありました。自分の体験の中で感じたこと、思ったこ とをそのまま踊りを通して表現できたらと思っていましたが、いろいろな方に「よかった」と言っていただけたのは、 私にとって何より嬉しかったです。バックの方は私が思い描いていたイメージを200%の素晴らしい形に仕上げて下さ いました。改めて御礼申し上げます。 これからも今まで同様、練習と勉強を重ねていい踊りが踊れるよう頑張りたいです。 |
| ■末木三四郎 |
| この度は大変栄誉ある賞を賜り誠にありがとうございます。新人公演がゴールではないとはいえ、この度の受賞を 心より嬉しく思っております。 本番では、魂のこもった熱いカンテとギターとパルマ、そして今までの全ての出会いからいただいた「あい」と「い のち」に躍らせていただきました。この場をお借りして、鍵田真由美先生、佐藤浩希先生、マヌエル、アントニート、 矢野吉峰先生、そして応援した下さいました全ての皆様に心から感謝申し上げます。 「精進せなばならぬのだぞ」と言われたつもりで賞の重みと責任を受け止め、これから改めて気を引き締め、丁寧に 心を込めて精進してまいります。自分とフラメンコと「生きる」ということをしっかり見つめ精一杯歩き続けたいと 思います。どうぞ宜しくお願いいたします。 |
| ■本田恵美 |
| 私のような、一人で活動している者にとって新人公演の大舞台はタブラオではやらない事に取り組める良いチャンス であります。曲のイメージが閃いたら構成を決め、照明プランを考え、バックア-ティストとのエンサージョの過程に 於いて振付をしていきます。 今年は昨年努力賞を頂いたファルーカの印象を払拭する踊りが目標でした。アレグリアスでも小粋で明るい港町の イメージではなく悲しみの感情に満ちたアレグリアスです。それが評価されるか否か不安はよぎりましたが是非舞台に 乗せたかったのです。結果、今年でやっと奨励賞を頂いてみると過去の失敗や苦労が自分の成長のために不可欠な経験 だったように思われます。 踊り手として指導者としてどう成長してゆくのか、真価が問われるのはこれからだと思っています。地味で地道な 活動であっても唯一無二な存在になれるよう努力していきたいと思います。有難うございました。 |
| ■田中菜穂子 |
| 私にとってこの受賞は思いがけないことで、とても驚いています。新人公演に出演すること、スペイン人アーティス トをバックに踊ることは初めての試みでしたので、あらゆることに不安や恐れがありました。それを払拭するために 練習を重ねましたが、未熟な自分に打ちのめされることの連続でした。そして当日のリハーサルは劇場の広さや照明 に振り回され、自分の経験不足を思い知らされるものでしたが、本番はただ音楽と空間を感じようと必死に踊りました。 今後も頂いた賞に恥じない踊り手となるべく努力を重ねていきたいと思います。最後に、振付・構成・照明プランを 考えて下さいました加藤美香先生、リハーサルから励まし支え続けてくれたバックアーティスト、素敵な衣装を作って 下さった立川さん、当日のスタッフ、関係者の皆様、応援して下さったアルバフラメンコスタッフ、生徒さん、友人、 そして家族にこの場をお借りて御礼申し上げます。 |
| ■工藤朋子 |
| この度、奨励賞という身に余る賞を頂きありがとうございました。正直私にとっては思いがけない賞でしたが、フラ メンコを続けていく中での目標の一つでもありましたので、やはり耳した時は喜びが胸いっぱいに広がりました。 本番では、温かく力強いミュージシャンがいるという安心感の中、ほどよい緊張を持ち自分の中に描いた物語(タラン ト)を、工藤朋子ここにあれ!という自信を持ち、踊ることができました。これからも踊りはもちろん1人の人として の自身を磨き、色濃いフラメンコ人生となるよう精進していきます。 先生方、ミュージシャンの方、周りでいつも支えて下さった方々、そして大きな心でいつも見守って応援してくれた 両親に心から感謝いたします。 ありがとうございました。 |
| ■屋良有子 |
| 好きの思いだけでただひたすら進んできた気がします。それが去年しばらく踊れなくなり苦しんでいた時、この曲に 救われました。自分にむきあう事、気持ちに正直になる事を教えてくれました。でも、この曲に対する想いだけが強く まとまらずにいたのですが、バックの方々に多くアドバイスをもらい形にすることが出来ました。また、注いでくれた 気持ちが本当に心強かったです。有難うございます。 今回の受賞は両親をはじめ、松村さん、高岸さん、有田さん、いつも応援し続けてくれる皆、スペインでの時間、全 てのおかげです。また、フラメンコそのものに感謝しています。自分らしい踊りが出来る様、これからも自分と正面から 向き合い、真摯に取り組んでいこうと想います。 |
| ■高橋綾 |
| まず、自分に付き合い続けてくれたギターのまっちゃんに心から感謝します。本当にありがとう!そして、名前は 挙げ切れませんが、いつも励まし続けてくれた友人、お世話になった多くの方々に心からお礼を言います。ありがとう ございました。 周りの支えを強く感じた1年で、みんなが受賞を喜んでくれた事が私にとって一番の喜びでした。今回のレトラを唄う きっかけは、チョコラーテのシギリージャです。絶妙なイリとヌケ、喘ぐような息遣いなどが、ぐわあっと入り組んで いって一気に最後で爆発する、そのあまりの壮絶さに鳥肌が立ちました。あの世界に少しでも近づきたいと思って、でも あの凄さに打ちのめされて、を繰り返す日々でしたし、今でのそうです。賞こそ頂きましたが、目指す世界にはまだ程 遠く、少しでも近づくようこれから先努力します。 最後に両親へ。理解してくれて心から感謝しています。ありがとう! |
| ★INFOMATION |
◆第5回アニフェリア2007「バイレの祭典」開催 |
| ◆開催日:2007年5月6日(日) ◆会場:なかのZERO大ホール |
| 第5回アニフェリア2007は協会員のみならず広く一般公募の「バイレの祭典」です。 バイレの祭典も3回目と なり新人公演、フェスティバルとは違った公演として定着しようとしています。皆様の参加をお待ちしています。 |